Collab Interview

interviewer:真実 一郎 / 2026.October

●Wonderpig Toysのルーツとデザイン哲学

ソフビに興味を持ったきっかけは何ですか? また、最初はどのようなソフビを集めていましたか?

初めてソフビに出会ったのは、仕事を通じてでした。ソフビという素材や、その製造方法について詳しく知るようになるにつれて、とても面白いものだと感じるようになりました。一般的なフィギュアとは違い、ソフビは必ずしも極限まで精密に再現することを目指しているわけではありません。そこには「おもちゃ」ならではの独特な魅力が残されています。その点に、私は徐々に惹かれていきました。

最初にコレクションしたソフビは、MARMIT(マーミット)のヘドラでした。透明なソフビで成型されていて、中に内臓が見える仕様になっていました。初めて見たときは本当に驚きました。「おもちゃって、こんな作り方もできるんだ!」と思ったことを覚えています。

また、初期の私にとって、エレガブも非常に大きな影響を与えてくれた存在です。ソフビは既存のキャラクターを再現するだけのものではなく、作家自身の強い個性を表現したり、まったくオリジナルの怪獣世界を生み出したりすることもできるのだと気づかせてくれました。

その後は、主に特撮怪獣のソフビを集めるようになりました。昔懐かしい雰囲気があり、少し変わったプロポーションや、どこか不器用にも見える造形に愛嬌がある。そんなおもちゃに、昔から特に魅力を感じています。

自分でソフビを作ろうと思ったきっかけは何ですか? また、「Wonderpig Toys」というブランド名の由来を教えてください。

私は昔から絵を描くことが大好きで、石粉粘土を使って小さなフィギュアを作ったりもしていました。ソフビと出会ってから、その素材や製造工程が、それまで自分で作ってきた模型とは大きく異なることに興味を持ちました。そこで単純に、「自分でも挑戦してみたらどうだろう?」と思ったんです。

「Wonderpig Toys」という名前には、私自身も、私の作品を楽しんでくれる人たちも、ほんのひとときでも子供の頃の純粋な気持ちに戻れたらいいな、という願いを込めています。小さなブタのように、あまり難しいことは考えず、ただ目の前のおもちゃに夢中になって、おもちゃが与えてくれるシンプルな幸せを楽しんでほしいと思っています。

オリジナルキャラクターを生み出す際、普段はどこからインスピレーションを得ていますか?

主なインスピレーションの源は、昭和の特撮作品や、『ジュラシック・パーク』のような映画です。特に、未知の世界を探検したり、まだ発見されていない生き物に出会ったりするような感覚が好きなんです。

私は昔から、「この世界には、まだ発見されていない新しい生物がいるかもしれない」という感覚に強く惹かれてきました。そこから少しずつ、Wonderpig Toysだけの島を想像するようになりました。その島では、新しい怪獣や動物、さらには言葉ではうまく説明できないような不思議な生き物まで、次々と現れます。

私にとって新しいキャラクターを作ることは、その島で新種の生物を発見するような感覚なんです。そうやって、この世界が少しずつ広がっていくことを楽しんでいます。

Wonderpig Toysが、ブランドの始まりから現在まで一貫して大切にしているデザイン哲学はありますか?

私は最初から、昭和の怪獣ソフビが持つ、強い「おもちゃらしさ」が大好きでした。キャラクターをデザインするときも、過度にリアルなプロポーションや細部の再現は、あまり追求していません。むしろ、あえて一部を単純化したり、誇張したりすることで、そのキャラクターがちゃんと「おもちゃ」として感じられるようにしています。

また、かわいいけれど、どこか少し奇妙なものも大好きです。怪獣をデザインするときでも、親しみやすさがあり、そのキャラクター自身の個性が感じられるものにしたいと思っています。こうした考え方は、Wonderpig Toysを始めた頃から、ずっと大切にしているものです。

●「もしカネゴンがお金を食べすぎたら?」という発想

なぜカネゴンを作ろうと思ったのでしょうか? また、カネゴンのどこに魅力を感じていますか?

私は以前から、カネゴンの見た目はとてもシンプルでかわいいのに、その背景にある物語は、実はとても考えさせられる内容になっているところが大好きでした。

カネゴンは、一般的な怪獣のように強かったり、恐ろしかったりする存在ではありません。むしろ、どこか不器用で親しみやすい魅力を持っています。見た目も非常に個性的です。少し奇妙な姿をしているのに、なぜかそれが余計に好きになってしまうんです。だから、カネゴンを制作する機会をいただいたときには、私が好きなカネゴンのシンプルさ、かわいらしさ、そして少し変わった雰囲気を残しながら、自分なりの解釈で表現したいと思いました。

今回のカネゴンをデザイン・原型制作するうえで、特にこだわった部分を教えてください。また、右手に持っているのはお金の入った袋でしょうか?

最初に考えたのは、「もしカネゴンがお金を食べすぎて、少し太ってしまったらどうなるだろう?」というアイデアでした。そこで、体をより丸く、ずっしりとした形にして、脚を短くすることで、現在のような誇張されたプロポーションにしました。

原型を制作する際には、カネゴンの最も特徴的で、誰もがすぐにカネゴンだと分かる部分を残しながら、自分なりのディテールも加えたいと考えました。単にオリジナルのデザインを再現するのではなく、ソフビ全体として、より面白いものにしたかったんです。

右手に持っているのはお金の入った袋です。カネゴンとお金の関係を、さらに強調したいと思って持たせました。

成型色や彩色について、特にこだわっている部分はありますか?

成型色も彩色も、昭和の古いおもちゃを思わせるレトロな雰囲気を大切にしたいと考えました。私にとって、ソフビそのものの成型色は非常に重要です。そのため、すべての部分を塗装で完全に覆ってしまうのではなく、素体の色もデザインの一部として残したいと思っています。

彩色についても、古いおもちゃならではの味わいを残しながら、シンプルで分かりやすい表現を好んでいます。また、これらの作品が、今この瞬間だけ魅力的に見えるものではなく、何十年も経ったときに、本当の意味での「古いおもちゃ」になってくれたらうれしいですね。

●ENKA VINYLとの出会いと今後の展望

ENKA VINYLとのコラボレーションは、どのように始まったのでしょうか? また、ENKA VINYLのどのようなところに魅力を感じていますか?

最初のきっかけは、私がSwimmyDesignLabのソフビをコレクションしていたことでした。幸運なご縁があって、社長の吉水卓さんと知り合う機会があり、その後も交流を続けてきました。

私は以前から、吉水さんのおもちゃを見る目がとても好きでした。彼自身のコレクションを見ても、商品を選ぶセンスを見ても、本当にソフビが好きで、キャラクターや作家それぞれの個性を大切にしていることが伝わってきます。私は、そうしたおもちゃに対する姿勢にとても共感しています。

その後、彼らは新しいブランドとしてENKA VINYLを立ち上げました。私がENKA VINYLに最も魅力を感じるのは、単にオリジナルのデザインを忠実に再現するのではなく、正式なライセンスを取得したキャラクターと、さまざまな作家の個性的なスタイルを組み合わせているところです。原作への敬意を持ちながら、作家自身の個性もしっかり残すことができる。それがENKA VINYLの最大の強みの一つだと思いますし、私がこのブランドに参加したいと思った大きな理由でもあります。

今後もENKA VINYLから作品を発表したいと思いますか? また、次に作ってみたいキャラクターや企画はありますか?

機会があれば、ぜひこれからもENKA VINYLと一緒に作品を作っていきたいです。私の目標は、自分が大好きなかわいい怪獣たちを、すべてソフビにすることです。少し欲張りに聞こえるかもしれませんが、そうしたキャラクターたちを少しずつシリーズとして完成させて、いつか全部を並べて展示できたら、本当に楽しくて、達成感があるだろうなと思います。

今のところ、特に作りたいのはゴジラシリーズと『ウルトラQ』のキャラクターたちです。大好きな怪獣たちを、一体ずつ、自分なりの解釈で形にしていけたらと思っています。

●「おもちゃは遊ぶためにある」

今後、Wonderpig Toysとして新しい企画やコラボレーションの予定はありますか?

今後は、もっと日常生活の一部になれるような作品を作っていきたいと考えています。単にコレクションするためだけのものではなく、さまざまな形で人々の暮らしの中におもちゃが存在できたらいいなと思っています。

また、これからもさまざまなブランドやクリエイターとのコラボレーションや共同企画に参加し、新しい可能性を探っていきたいです。今後は、正式なライセンスを取得したキャラクターの制作にも、さらに挑戦していきたいと思っています。そうしたキャラクターを、自分なりの解釈で表現していけたらうれしいですね。

最後に、世界中のソフビファンに向けてメッセージをお願いします。

Wonderpig Toysを応援してくださっている皆さん、本当にありがとうございます。自分の作品が海を越えて別の国へ渡り、誰かのコレクションや生活の一部になっているのを見るたびに、今でもワクワクしますし、少し信じられないような気持ちになります。

これからも、自分自身が大好きで、面白いと思えるおもちゃを作り続けていきたいです。そして、世界各地のイベントで、皆さんと直接お会いできる機会がもっと増えたらうれしいです。

何よりも、皆さんに忘れないでほしいことがあります。おもちゃは、遊ぶためにあるものです。コレクションすることを楽しんでください。そして何より、自分のおもちゃで遊ぶことを楽しんでください!

Wonderpig Toys(子豚おもちゃ)

2020年に台湾で設立されたおもちゃメーカー。日本の昭和の特撮文化やおもちゃ文化に影響を受けた、オリジナリティ溢れるキャラクターのソフビを数多く生み出している。近年は『ゲゲゲの鬼太郎』や『チビラくん』といった版権キャラクターをソフビ化するサブブランド『MORVLAB(モーヴラボ)』も展開するなど、活動の幅を広げている。

https://www.instagram.com/wonderpig0920/